理容師が語る自宅での白髪染め

新型コロナウイルスの影響もあり、自宅で過ごす時間が長くなった方も多いのではないでしょうか。

リモートワークや外出の制限から身だしなみが疎かになるのも当然であって、この時間を利用して白髪染めも簡単に自宅で済ませようと考える方もいるかもしれません。

先に結論を書いてしまえば、理容師の観点からすると、自宅での白髪染めはあまり推奨いたしません。

特に初めての方は髪質や頭皮の関係性から是非とも理容室や美容室でアドバイスを受けながら白髪染めをすることを推奨いたしますが、自宅で白髪染めをする場合は下記の注意点を意識してみてください。

一人で白髪染めをする前提でお話を進めていきます。

染める前の準備

汚しても捨てるような不要な衣服を着用する。お風呂場など周囲に薬剤が飛散したりこぼれたりしても掃除し易い場所を利用する。フローリングや絨毯・カーペットなどに薬剤が付着すると非常に掃除が大変なので注意が必要です

明るさに注意

市販のパッケージに描かれている色合いや明るさを見ても染め上がった状態は凡そのイメージしか掴めないと思います。初めて染めるなら暗い色合いを選ぶようにしてください。髪質の個人差はありますが、髪の毛は明るくしてしまうとメラニン(髪の毛の黒い部分)が壊され元に戻すのが困難になります。再び暗い色合いで染めても元に戻ってしまう可能性があるので注意が必要です。

薬剤を選ぶ基本

少し専門的な話になりますが、市販のパッケージに表記されている見本色はバージン毛(1度も薬剤処理がされていない地毛)に塗布した場合の色合いとなります。2度目以降の場合は1度目の薬剤の残留部質の影響を受けるので見本の色合いはあてになりません。例外としては、同じ色合いで1度目よりも同じ明るさ、若しくは同じ暗さの場合は見本と同じ色合いになります。

髪のダメージを最小限に留める

何度も髪全体を染めるのは髪質への影響から極力避けてください。白髪染めやヘアカラーは考えている以上に髪へのダメージが大きいです。どうしても白髪を隠したいという思いから全体を染めてしまう傾向になると思いますが、髪の根本から染めることを意識するのが重要です。ただし、短髪な男性の場合は髪は1ヶ月に1㎝、1番長い髪が6㎝なら6ヶ月後には全ての髪が新しい髪へと生え変わっているので女性のような長髪で無い限りはそれほど気にしなくて大丈夫です。

乳化という技法

ひとつの技法に乳化というものがあります。これは、染め上げた後に色移りを最小限にする技法でやり方は簡単なので覚えておいて損はないです。シャンプーをする前にお湯でカラー薬剤と髪の毛を馴染ませて髪の毛に付着しているカラー薬剤をゆるくします。その後に丁寧に濯いでシャンプーすることで色移りを少なくすることが可能です。これをやらないと染め上げた色が他の物(枕や衣類など)に移る可能性があります。

自宅で白髪染めを行うには最低でも上記の点は覚えておいて損はありません。

時短で素早く染め上げたいという気持ちは誰にでもあると思いますが、慣れないと意外に事前事後処理に気を使います。

理容師や美容師は白髪染め・ヘアカラーに関してプロであるため、時間は掛かりますが、技法や知識によって染め上げ・色合いなど自宅では難しい部分をカバーすることができます。

お客様からの相談やアドバイスを入れながら染めることの注意点もお教えできますので、白髪染めの最初の一歩は是非ご来店ください。

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